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二十七番目の光芒
「なあに、あれ」 大学のテキストと数冊の文庫本が置かれただけの簡素な本棚の一番上に置かれたそれ。プラスチック製の使い捨てインスタントカメラ。 千歳の部屋のベッドにうつ伏せで横たわり、枕に上半身を預けてスマートフォンを触っていると、その向こう側に見えたそれが目に留まった。...
千歳
ヴィーナスベルト
※「秒針の裏側」の千歳サイドのお話です “熱帯魚のような人だった” 学校という名の箱庭の中を、低いヒールの踵を静かに打ちつけてゆったりと歩くその人の姿は、まるで水槽の中を泳ぐ熱帯魚のようだった。ひっつめ髪から零れるおくれ毛の緩やかなカール、真っ白なブラウスの袖口から覗く細い...
千歳
秒針の裏側
元々あまり器用な方ではなかった。例えるならば、水を掻くのが下手で、手足をばたつかせるほど水底へ沈んでいってしまうような、そんな感覚に近い。人の輪の中にいると、どうしたって浮いてしまう自分が嫌で、十数年かけて大人数の中に溶け込む術を会得した。妙に負けず嫌いな面が功を成して、幸...
千歳
蠍の心臓
何者でもない何かになりたい。 そんな矛盾した思いを常に抱えていた二十歳のことだった。 茹だるような暑さに立っていることすら嫌になる夏のある夜、二週間ぶりに自宅のアパートに帰ると、電気が止められていた。 錆びついた階段を昇った二階の一室、玄関の鍵はいつも開けっぱなしだった。六...
千歳
C.G.
仄暗い水底に沈みゆく最中、私はあなたに心奪われていった 東京で就職して三年、職場の人間関係の諍いに巻き込まれ、心身ともに疲弊しきった私が辿り着いたのは、住み慣れた故郷の港町だった。辞表を出したその日のうちにスーツケースに最低限の荷物を詰め込んで帰省した私を、両親は何も言わず...
千歳
黄昏時のブルース
秋の陽はつるべ落としとはよく言ったもので、9月も半ばに差し掛かると、18時を過ぎた辺りからあっという間に辺りが暗くなる。 秋雨降りしきる夕暮れどきのことだった。車を走らせ帰路に向かう途中、人気の少ない住宅街の角を曲がろうとハンドルと切ったとき、唐突に、目の前に黒い影がぬっと...
千歳
たぶん、おそらく、きっと
金色の 帯射す真昼の 木下闇 それは8月も半ばに差し掛かった頃だった。 “こうえん” 昼過ぎ、たった四文字の電話を受け取った。千歳だ。受話器の向こうで彼の声が、気だるげに、けれど口調はどこかはっきりと、そう告げた。どうやら公園に来いということらしい。彼のこうした突拍子もない...
千歳
君に包まれて
「ただいま」 ほぼ無意識に発したその言葉に「おかえり」と返してくれる人がほとんどこの家にいないというのはいつものことだった。しかし、ハイヒールのストラップに指をかけたところで、私は異変に気付く。「ただいま」という言葉は、いつものように真っ暗な室内に静かに吸い込まれていったが...
千歳
辿り着く場所
一人旅をした。急に、どこか自分の知らないところに行ってみたくなり、丁度貯金も良い額に達していたので、衝動に任せるままに有給を取って文字通りふらっと一人旅に出掛けた。行先はどこでも良かった。有給の手続きをしたその日の帰宅途中に立ち寄った本屋でたまたま一番最初に手に取ったガイド...
千歳
冬の陽射し
北風が容赦なく吹き付ける寒空の下、わたしは彼のいる街の駅に降り立つ。街が年末年始の催し事でばたばたと慌ただしい最中、わたしは一心に彼の家へと向かう。箱の中のケーキが崩れてしまわぬよう、細心の注意を払いながら、わたしは彼の住むアパートの階段をそろりそろりと昇る。...
千歳
名もなき恋
テストの成績も、両親からの期待も、将来のことも、全てを急に投げ出したくなって、帰りの電車を途中下車した。特に理由もなく選んだそこは、毎日利用している路線だというのにも関わらず、名前すら知らない田舎の駅だった。知らない駅に降り立ち、知らない名前の書かれた看板を茫然と眺める私の...
千歳
カノンを刻む
東京という街は、そこだけ時間の流れが速くなってしまった様なところだと聞いたことがある。東京の時計の秒針はぐるぐると滑る様に滑らかに回転するだけで、カチコチと独特のリズムを刻まない、そんな気がするのだ、と。 閉まるドアを背にホームに降り立つと「東京」と書かれた看板が私を異国の...
千歳
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