幸村矛盾を謳歌する者後ろの席の男どもが授業中ざわざわと騒いでいてうるさかったので、堪忍袋の尾がぶった切れた私は、そいつらの脳天に思い切り教科書を叩き付けて、机を蹴り上げてやった。「うるさい黙れカス」と罵ってやれば、彼らは床に落ちた文具を拾うのも忘れて茫然と私を見詰めていた。...
幸村たとえば、たとえば、君が今開いた携帯電話のディスプレイに映る送信者が俺だったら、君はその「幸村精市」の文字を見て、今みたいに嬉しさを覆い隠しきれていない様子で口元を緩ませてくれるだろうか。 たとえば、メールを返信して五分と経たずに教室の入り口に現れた男が彼ではなくて俺だったら、君は今...
幸村世界の終焉で、君は彼女は、いつもの様に俺の家に何の前触れも無くやって来て、いつもの様に鞄の中から派手なパッケージの袋に包まれたジェリービーンズを取り出し、そしていつもの様にその中身をガラステーブルの上にぶちまけた。無色透明だったテーブルが一瞬にして目の冴える様な鮮やかな色で華やぐ。...