一氏帷(とばり)売店の軒下に置かれたベンチに腰掛ける一氏の姿を見付けたのは、夏の強い日射しがじりじりと肌を焼く真昼の頃だった。 背中を丸めた彼の姿は、日の光を遮断している庇(ひさし)の影に紛れ込んで消えてしまいそうな程に弱々しく、そこへと誰かが踏み込んだら途端に脆く崩れてしまいそうな程に儚...